店主インタビュー第3回 はちみのや・田中店主
もうすぐ桜色に染まる苦楽園の街角に佇む、蜂蜜専門店「はちみのや」。
お洒落な雑貨屋さんのような外観に誘われて一歩入れば、
ずらりと並ぶ蜂蜜のきれいな色に、しばしうっとり。
店主・田中実里さんが案内する、奥深い蜂蜜の世界へようこそ。



神戸マルシェ・店主インタビュー
第3回 はちみのや 店主 田中 実里さん


  


ダイヤ出発点は「ミラクルハニー」との出会い

2002年10月に「はちみのや」を開業する前は、旅行業界で働いていました。
ランドオペレーターという、日本の旅行社と海外のホテルなどの橋渡しをする仕事で、
主にアフリカ・オセアニアを担当して、海外を飛び回る毎日。

そんな私に、商売をしている父は「この先日本では、天然の食べ物が貴重になる」と言い、
1種類の食品に特化した店、中でも女性らしい「蜂蜜」を扱う店をするよう勧めてました。

そう言われても、旅行の仕事が面白かったので、蜂蜜店を立ち上げるかどうか、
決めかねていた2000年頃のある日、運命の出会いが訪れたんです。
それは、ニュージーランド政府観光局の新聞で目にした「マヌカハニー」!
マヌカハニーとは、ニュージーランド固有のお茶の木から採れる蜂蜜で、
その葉は、擦り傷や火傷を治す薬草として珍重されてきた食品です。

記事を見た途端とても気になって、どうしても食べてみたい!と思ったのですが、
まだ日本ではほとんど輸入されていない蜂蜜で、どこにもありません。
そこで、明治屋にその記事の切り抜きを持って頼み込み、
軽井沢で輸入している人から仕入れてもらったんです。

ついにマヌカハニーを手に入れ、一口食べて衝撃が走りました。
薬効などはともかく、味がものすごく気に入ったんです。
こんなことを言うと驚かれるかもしれませんが、私は元々蜂蜜が好きだったわけではなく、
どちらかというとあの甘ったるさが苦手だったんですけど、考えが180度変わりました!
「なんて美味しいんだろう…」と。
このとき「マヌカハニーを輸入して日本に紹介したい」と強く思い、
仕事を辞めて蜂蜜店を開業しようと心を決めました。
つまり、マヌカハニーとの出会いが「はちみのや」の原点なんです。

決めたら即行動です。
すぐに現地でマヌカハニーを生産している人に連絡を取りました。
「マヌカはミラクルハニーだ!これを日本に紹介したい」と熱いFAXを送り、
直ぐに現地の工場見学に飛びました。
ニュージーランドでは、たくさんのメーカーが
マヌカ蜂蜜を販売していることを知り、片っ端から食べ比べました。
結果、自分の一番気に入ったものは、地元のメーカーのものだったので、
これを輸入すると決め、開業に向けた準備を一気に始めました。


ダイヤ国産の蜂蜜を求めて、西へ東へ

最初はマヌカハニーだけを扱うつもりでしたが、採算やバリエーションを考えて、
国産の蜂蜜を探してみることにしました。
当時は、花の種類(蜜源)によって味が違うことも知らないほどの素人でしたし、
それこそ、ちゃんとした蜂蜜を採っている人かどうかなんて、全く分からない。
「美味しい蜂蜜を集めたい」という情熱だけで動いていました。

雑誌で「静岡にみかんの蜂蜜がある」と見かければ、
すぐに「卸していませんか?」と訪ねたり、
養蜂家を訪ねて、北海道を1日で600km車で走ったこともあります。
れんげの蜂蜜を求めて行った鹿児島では、
タウンページで養蜂家を探して、会ってくれる人には全員会いました。


最初は「純粋な蜂蜜」という味が、なかなか掴めませんでしたが、
そんな私に、その基準を教えてくれた養蜂家が二人います。
まず、鹿児島県の蓮子さんとの出会い。
蓮子さんが採ったあかしあ蜂蜜は、今までの蜂蜜とは別次元の味で、
喉に引っかからず、気持ちよく抜けていく。まさに純粋というほかない味でした。
もう一人は、同じく鹿児島県の谷井さんのれんげ蜜。
嫌な匂いのない、澄み切った味でした。
れんげ蜂蜜の匂いが臭くて蜂蜜が好きになれなかった私にとって、本当に驚きでした。
この方のれんげ蜂蜜は今も店頭に並んでいます。

こうして、いい蜂蜜を食べ重ねることで、舌が磨かれ、勘が冴えていきました。
だまされることも少なくなり、蜂蜜を食べればその養蜂家の腕がどの程度のものか、
真面目に蜂蜜と向かい合っているかが、分かるようになっていました。
今は、そんな形でお付き合いする養蜂家さんは15〜16人ほどになりました。

この業界は、養蜂家も含めて完全に男性社会ですし、60〜80代の人が多いので、
30代の女性だった私にとって、とても入りにくい世界だったことは確かです。
でも、逆に「みのりちゃんが来るなら!」と言って、助けてくれた養蜂家さんも数知れず。
「大丈夫?」と娘を気遣う親みたいな感覚になってくれているのかもしれませんね。
お店に並んでいる蜂蜜は、そんな人と人とのつながりでいただいている蜂蜜なので、
どれも愛しく、一つ一つに思い入れがあります。


ダイヤ「養蜂家」という匠たち

「養蜂家」というのは、飼っている蜂が集めてきた蜂蜜を取る仕事なんですが、
具体的にはどんな仕事なのか、想像つかない方が多いのではないでしょうか?

日本ではもともと大半の養蜂家が「転地養蜂」という手法を取っていました。
蜂の巣箱を100〜200箱ほど10トントラックに積んで、全国を旅して蜜を集めます。
土地を転々として養蜂するので「転地養蜂」です。
生活の拠点を鹿児島に置き、蜂を越冬させた後、
花が南から咲いていくのと歩みを合わせて、蜂を連れて北上していくんです。
まずは、鹿児島でれんげを採って、静岡でみかん、青森であかしあ、
北海道でクローバーというように。そして秋になったら、また鹿児島に帰ります。
現在は自然の減少、養蜂家の高齢化が進み、地元だけで採る養蜂家が増えてきました。

蜂が花の蜜を集めて、巣箱に帰ってきた直後は、水のようにサラサラ。
それが、巣箱の中で働いている蜂の羽根の羽ばたきによって水分が乾かされ、
だんだんとねっとりとした甘い蜂蜜に濃縮されていきます。
集めてきた花蜜が最高の糖度と粘度になるタイミングを見極める眼力こそ、養蜂家の腕。
気温、天気、湿度、天候にも左右され、微妙な判断が求められます。
この採蜜のベストタイミングを見極められるかどうかが、
いい養蜂家かどうかの一つの判断基準です。
見分け方はその人の考え方一つなので、奥深い世界なんですよ。

そんな職人肌の養蜂家とのお付き合いは、確かに一筋縄ではいかない面もあります。
初対面では決して卸してくれなかったり、こちらの情熱を測られたり。
でも、それはそれだけ、養蜂家が蜂蜜を大切に考えている証でもあるので、
惚れ込んだ蜂蜜の養蜂家には、一度で諦めず何回も何回も足を運んでいます。

シークヮーサー蜂蜜を仕入れている沖縄の養蜂家さんのもとには、
6年越しで通った関係が実り、去年初めて店頭に並べることができました。
その方から、今春新しい蜜を分けてもらいます。
それは、沖縄でよく食べられる「苦菜(ニガナ)」という植物から採れる蜂蜜。
なんと、口に含むと後味が苦い!
“苦い蜂蜜”なんて、初体験でしょ(笑)?
甘ったるさがなく、スーッとしたハッカのような味が通り抜け、後口はキリッと。
気になる方は、ぜひ店頭でご覧ください♪


ダイヤ「ミエル・ピュール」の誕生

オープン当初から、蜂蜜を閉じこめたチョコレートを作りたいという夢がありました。
でもパティシエに相談すると、大抵が「ミルクチョコレートに蜂蜜を練り込んで、
ガナッシュにすることはできるけど、蜂蜜をトロッとさせるのは難しい」という答え。
ところが、「できる」と言うパティシエが現れました。
ご近所のミッシェルバッハ・須波さんです。

たまたま、本店移転オープン記念の蜂蜜クッキー作りを頼みに行った時でした。
お店のガラスケースに、キャラメルが中から出てくるチョコレートが並んでいたんです。
「この中身を蜂蜜にできないでしょうか?」と相談すると、
須波さんは快諾してくださり、何度か試行錯誤を繰り返した末に、
ついに去年2月「ミエル・ピュール」が完成!
チョコレートの中からとろっと蜂蜜が出てきて、幸せな気持ちになるお菓子です。

素人の考えでは、甘い蜂蜜を中に閉じこめるのだから、
苦いチョコレートの方がバランスが取れると思いますが、
須波さんは、ビターチョコではなくて、あえて口溶けのいいミルクチョコを採用。
何種類もブレンドするなど、そのバランスに細やかなこだわりが隠されてるんです。

当初は非売品のつもりでしたが、お客様の声で定番化することになりました。
季節によって中に入れる蜜を変えているので、食べ比べてみるのも楽しいですよ。
淡い味の蜜がメインでしたが、去年の秋に作ったくり蜜のチョコも意外に好評。
はぜ、菩提樹など、相性を探しながら須波さんも楽しまれているみたいです。


これからは、蜂蜜の可能性を広げるこんな食べ方を提案したり、
去年から取り組んでいる、季節の果物を蜂蜜とオーガニックシュガーだけで炊き込む
蜂蜜ジャム「ハニーソース」を充実させるほか、
梅酒の季節には「梅の実」、風邪の季節には「しょうが」など、
蜂蜜を使う料理の材料を扱ったり、色んな方法でお客さまに喜んでもらいたいですね。
いつかはカフェもやってみたいな・・・なんて、夢はまだまだ広がっています。


【田中店主が選ぶ、私の店の3品】

・ずっと売れてる定番商品
「れんげ」「あかしあ」
色がとてもきれい。あかしあは、他の花の蜜が混ざると黄色くなるが、
透明に近いのはあかしあ蜜の含有量が多いからだとか。
れんげは一般的な蜂蜜だったが、
今は害虫被害などによって貴重な蜂蜜になっているのだとか。

・マニアが喜ぶレアアイテム
「くり」「菩提樹」
くりは、コクとほのかな苦みがある個性的な味。国産が希少なことでも有名。
菩提樹は、普通はあまり出回らない蜜で、スーッとした味が特徴なんです。

・個人的に気に入ってる隠れたおすすめ商品
「一期一味」
日本みつばちが集めた、とても貴重な蜜。
日本みつばちは西洋みつばちに比べて体が小さく、
西洋みつばちが集められないような小さな花の蜜を集めてくる。
1年に1回しか採蜜できず、1年間たまっているのに、信じられないほど透明感のある味。
口溶けが全く違って、別次元といった感じ。
甘すぎず上品。ちょっと酸味があり、花の香りが口いっぱいに広がる。

田中さんにとっては、西洋みつばちの蜜を知る前に、
雑誌で静岡河津に珍しい蜂蜜があると聞いて、最初に訪ねた思い出深い蜜でもあるそう。


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取材・文/西川有希


| kobemarche | 店主インタビュー | 00:22 | - | trackbacks(0) | - | - |
店主インタビュー第2回 口笛文庫・尾内店主
神戸・六甲の地に、20代で古書店を開いた尾内さん。
開店から約4年経ち、先日店舗の改装が完了。
さらに、ゆったりじっくり本を選べるようになった空間で、
知られざる古書ワールドについて、たっぷり語っていただきました。




神戸マルシェ・店主インタビュー
第2回 口笛文庫 店主 尾内 純さん


ダイヤ音楽のある古本屋

「口笛文庫」という店名の由来について、よく聞かれます。
実は、僕はここ六甲にある神戸大学を卒業した後、音楽関係の仕事をしていたんです。
その流れから、この店を開くときは、
古本と同じくらい、中古も新譜も含めたCDを扱おうと思っていました。
だから、音楽を感じさせつつ軽やかなイメージの「口笛」と
本を表す「文庫」をくっつけて、「口笛文庫」と名付けました。
開店から4年たった今は、ずいぶん古本が多くなりましたが、
入り口正面のコーナーには、CDを置いて、音楽関係の本を集めています。

店のBGMには、音数の少ない曲を選ぶようにしています。
ギターソロや、ジャズの男性ボーカル、アコースティックスイングなんかですね。
今流れているのはラジオではなくて、ナルニア国物語の英語版朗読CDなんですよ。
音楽だと飽きたり、逆にノッてしまったりするので、このぐらいがちょうどいいんです。


ダイヤ意外に知らない、古書業界あれこれ

僕の古本屋デビューは10代半ば。地元の春日野道の商店街にある古本屋でした。
店先に、雑誌のバックナンバーや漫画、ちょっと色っぽい本なんかも置いてあるような
気軽に通える店だったので、自然に通ってました。
その春日野道の古本屋もそうなんですが、本当に価値のある本は店先には並んでなくて、
奥にあったり、倉庫にあったりすることが多い。そういう本は頻繁には売れませんから。
だから、探している本が店頭にないからといって、諦めるのはすごくもったいない。
ぜひ店主に一声掛けてみてください。

古本の仕入れ方法には大きく二通りあって、一つはお客さんから直接買い取る方法で、
もう一つはあまり一般の人は知らないと思いますが、業者の市があるんです。
そこでは、入札方式で買い手が決まるので、
僕にとっては本を見る目を養う場でもありますね。
たとえば、僕が5千円で入札した本に、ベテランの方が2万円と入札していたりする。
そういう場を踏んで、本の価値や相場を勉強していくんです。

古書店が圧倒的に多いのは東京です。完全に東京集中型の業界ですね。
出版社も集まっていて、お客さんも多いので、
同じ商品でも業者間の取引では東京の市場に出せば高値が付くことも珍しくない。
古書店の店主はみんな「一山当てたい!」と思ってますよ(笑)。
趣味の延長で気ままに商売しているように見えるかもしれませんが、
のんびりしていてはやっていけません。
だから多くの店が古本市に出店したり、インターネットで本を売ったりしています。

趣味で古本を集めてるわけじゃなく、お店の経営を考えると古本は商品です。
商品だから、売って現金に換えないと意味がない。
売ったお金でまた仕入れるということの繰り返しです。
いい本が手に入ったと思っても、しばらくしたら全部売ります。
所有欲はほとんどなくなりましたね(笑)。


ダイヤ最近心惹かれる「紙モノ」の魅力

お店の品揃えは僕の興味範囲を写す鏡のようなもので、
最近増えてきたのが、いわゆる「紙モノ」。
紙モノとは、木版刷りのマッチラベルとか、オランダの更紗の図案帳とか、
紙に印刷してあるけど、本として出版された以外のものです。

本はどんなに珍しいものでも、お金さえあれば大抵は手に入る今の時代にあって、
紙モノは欲しくても、探す手段すらないことが多い。
興味のない人には紙くず同然という物もあるので、
どうしても捨てられることが多くて、残っているだけで希少性が高いものも多くあります。
見出す人が価値を付けられるということが面白いですね。

紙モノを入手するのは、業者の市の他には、古書の買い取りに行ったお宅で、
「亡くなった祖父のコレクションなんですが…」と相談されるケースがほとんど。
おじいさんが大切に集めていたことを知っている家族にとっては、
捨てるに捨てられないものなんですよね。

たとえば、満州や朝鮮の観光スタンプや絵葉書などを集めた
スタンプ帳というのがありました。こういうものって少なくなって来ていますし、
資料的な価値があったり、デザインも独特で面白い。
眺めていると集めた人の足取りが浮かんでくる、というのもとてもいいんです。
こういう紙モノは、一つひとつを見ていても、「これをよく残していたなぁ」と、
集めた人だけでなく、残してくれた人への感謝の思いも湧いてくるんですよね。


ダイヤ落ち着いて暮らせる町、六甲

よく考えると六甲には学生の頃からお世話になっていて、
落ち着いた雰囲気が気に入ってます。
お店の近くに自宅もあり、生活のほとんどが六甲で完結してますね。
住宅街に点在している店で、パンや花を買う。そういう日常風景が当たり前にある。
近所で気に入っているのは、JR六甲道駅近くの「垂水飯店」や、
お店から東へすぐの洋食店「自由軒」。ここは学生の頃から行ってました。
カウンターしかない古い洋食店なんですが、なんだか落ち着くんです。
この気取らない空気感、生活感が、六甲の好きなところですね。

うちの店にも、近所のおじいさんがぶらりと立ち寄って、昔話をしていってくれる。
近所の子どもたちもよく遊びに来るんですが、
「この本借りたいんです」と、完全に図書館と勘違いしてる子がいると思えば、
ずらりと並んだシリーズの本を見て「すごい。どこから仕入れたん?」と、
一人前に商売を分かってる子もいる。見ていると本当に面白いです。

全国的な流れ以上に震災の影響で、神戸の古書店は減っています。
サンパルにある「古書のまち」も今は一軒だけになってしまいましたし、
センター街や様々な場所で、ずいぶん古書店が閉店しました。

古書店が減ると当然、小さな頃から古本に触れることが少なくなります。
お店を構えずにインターネットで商売をする店も増えてきていますが、
僕は店を構えることに意味があると思っています。
古本の値段って、裏表紙をめくったところに鉛筆書きしてあるのが常識なんですが、
「これいくらですか?」と聞いてくる人がいる。
小さな頃から古本屋に触れていたら知っていることを、知らないんですよね。
だから、できるだけ多くの子どもが古本に触れる機会を作っていきたいなと思います。


ダイヤ生活の一部に溶け込む古書店になりたい

古本屋は本がなければ商売ができません。
住宅街、それも古い家が残っている住宅街は、本が入ってきやすいんです。
繁華街だと、買い取ってほしい本を持って行くのも大変でしょう?
そういう意味でも、古本屋って、わざわざ行く場所ではなく、
町の一部であり、日常の延長にある場所だと思うんです。

それに、街中にあると流行を追いかけたりしないといけない気がして。
“お洒落だから”と外国の本を買い付けに行ったり、
そういうことを否定はしませんけど、僕がやることじゃない。
あくまでも生活の延長にある古本屋でいたいんです。

神戸マルシェも理想は、生活の延長というか一部でありたいですね。
ぶらっと寄って、ぶらっと買えるみたいな。
今よりももっと自然な感じで、いつかできたらいいですね。



本イベント情報
「古書大即売会」

期間/1月29日〜2月3日
場所/さんちかホール
さんちか恒例の古書即売会に、口笛文庫さんも出店されます。
尾内さんも会場にいらっしゃる予定ですのでぜひ遊びに来てください!
詳しくはこちら↓
 ・兵庫県古書籍商業協同組合 さんちか古書大即売会
 ・兵庫県古書籍商業協同組合 新着情報



【尾内店主が選ぶ、私の店の3品】
・ずっと売れてる定番商品
「絵本」
 お店に入って右手の壁一面は、子どものための本のコーナー。
 やはりいつの時代も子どもは絵本が大好き。最近は、大人の姿もちらほら。

・マニアが喜ぶレアアイテム
「黒っぽい本」
 古書業界では、書店に並んでいるような一般書を「白っぽい本」と呼び、
 明治〜戦前ぐらいに出版された本を「黒っぽい本」と呼ぶのだそう。
 価値ある絶版本なども含まれ、まさに古本好きが喜ぶアイテムが並ぶ。


・個人的に気に入ってる隠れたおすすめ商品
本じゃない「紙モノ」
 インタビュー本編にもあった、最近尾内さんが惹かれている、
 本じゃない「紙モノ」たち。定期的にチェックするおじさまたちも。


ラブ口笛文庫 お店情報はコチラ


取材・文/西川有希

| kobemarche | 店主インタビュー | 20:30 | - | trackbacks(0) | - | - |
店主インタビュー第1回 コムシノワ・西川シェフ
今回から始まりました、神戸マルシェ・店主インタビュー。
神戸マルシェを作る店主のマルシェに寄せる熱い思いや、
その素顔・横顔にググッと迫ります。
文末には、店主自らが選ぶ「私の店の3品」も掲載。
不定期更新ですが、お楽しみください。


神戸マルシェ・店主インタビュー
第1回 ブランジェリー・コムシノワ 西川功晃さん


いつも独創的なパンを生み出し、私たちを楽しませてくれる西川シェフ。
そんなシェフの子ども時代や音楽の話から見えた、意外な素顔とは?


ダイヤ買う楽しみが詰まった神戸という街

海と山に挟まれているところが一番好きなところですね。
街にいながらにして、潮風を感じたり、草木の香りを嗅ぐことができる。

東京や大阪は、巨大な商業ビルを建てることで、
街作りをしているように見えるんですよね。
でも、そういう囲われた街にある店では、
「買う楽しみ」が半減してしまう気がする。
それは、街をぶらぶら歩きながら、自然を感じながら、
素敵なお店やお気に入りを見つけることで得られるもの。
神戸は、そんな街作りができる土地だと思うんです。

いい環境だから、いいお店が集まり、人が集まる。
人を集めることから考え始めるのではなく、
僕はこの「環境づくり」が大切だと思います。
神戸マルシェももちろんその一環であり、大きな力を秘めたもの。
神戸マルシェのような企画が喜ばれる街であること、
その環境こそが、いい店を呼び、活気を生む土台になるんじゃないかなぁ。


ダイヤ心に残る、スイス・ルツェルン“パン屋だけのマルシェ”

2年前に神戸マルシェを始めるときに、ふと心に浮かんだ市場があるんです。
それは、以前旅行で訪れたスイス・ルツェルンでのマルシェ。
毎朝ジョギングをする僕は、その朝もホテルの周りを走ってた。
すると、広場でコンコンカンカンと何かを組み立てる音がする。
行ってみたら、朝市の準備をしているところで、
それは、なんとパン屋だけのマルシェ!
その発想自体を“おもろいなぁ”と思ったし、
ルツェルンの街のシンボルをモチーフにしたパンもあったりして、
とっても楽しい朝市だった。

パリ、スイス、オランダと、ほかにも色々朝市を見たけど、
心に残ってるのは、「生活感」があって、「その街らしさ」のあるマルシェ。
家からちょっと自転車で買いに行けるぐらいの距離にありながら、
今日はどこそこの農家が来てるとか、今日はあの店で特別なメニューがあるとか、
そういう楽しさのあるマルシェに惹かれますね。
マルシェは生活そのものであり、街のエネルギーの源だと思うんです。


ダイヤ甘いモノ好きなサッカー小僧だった

最初に習ったスポーツは剣道でした。竹刀や防具をかつぐ姿に憧れてね。
でも、警察関係の先生がとっても怖くて、よくズル休みしたなぁ(笑)。
ある時、母親にズル休みがバレてしまい、剣道を辞めて、
友人に誘われてサッカーを始めた。
すぐに上手くなって、学校ではちょっとしたアイドル並みにモテたり(笑)。

親の仕事の関係で京都に移ってからは、
京都パープルサンガの前身のクラブチームに入って、サッカーを本格的に続けました。
チームメイトには、元日本代表の柱谷選手もいてね。
本気でサッカー選手になろうとプロを目指してました。

でも、プロチームに入った先輩が次々に辞めていくのを見て、現実を知り、
高校を卒業する頃に「職人になろう」と決意したんです。
ちょうど兄が神戸の伊藤グリルで働いていたので、よく兄弟でお菓子屋巡りをしたなぁ。
まだ今ほどケーキ店もパン店も少ない中、
ハイジ、アンテノール、G線なんかを、1日で4〜5軒ハシゴしたりしてね。
昔から、サッカーの練習帰りにケーキを買って帰るほどの甘いモノ好きだったから、
すごく楽しい時間だったし、パン職人を目指した原点はここにあるのかもしれないね。


ダイヤ佐渡 裕氏のコンサートにパンを持って駆けつける

忙しいスケジュールの合間を縫って、月に2回は必ず聴きに行く彼のコンサート。
手にはオーケストラ全員分の差し入れ用のパンを山ほど抱えてね。
エネルギッシュに指揮棒を振る佐渡氏のお腹の中には、
僕のパンがあるのかもしれないね(笑)。
その演奏を聴いてると、感動で心が震えるし、僕にとっての最高のひとときなんです。
3歳上の彼の活躍を見て「負けられへん」と思うしね。

実は、来年僕が出場する「モンディアル・デュ・パン国際コンクール」の
日本代表を引き受けるかどうか迷っていたときに、
背中を押してくれたのが佐渡さんでね。
「僕はフランス人にボレロを教えてやる。
君はフランス人にパンを教えてやったらいい」と言ってくれて。
その言葉を聞いて、ドーンとチャレンジする気が湧いてきた。
コンサートやオペラの観客としてだけでなく、
個人的にも元気、勇気をもらっている人ですね。


ダイヤ文化の担い手として、面白いことを

食をめぐる色んな問題が増える中、
飲食店やお客さんが地元農家ともっと一体化していくことが、
これから大切になってくるはずです。
農作物をパンやお菓子、料理などに加工する僕たちが、
農家の人と意見交換しながら、盛り上げていく。
そうすると、お互いが活性化して、いいモノが作れるようになってくる。
お客さんの選択肢も豊かになって、楽しくなりますよね。
僕ら店主たちは、そういう意味で「文化の担い手」だということに、
気付き始めている人も多いんじゃないかな。

神戸は他の都市に比べて、農業・漁業・畜産業・酪農が近郊にある。
そこに、開港以来培われてきた神戸人気質・ブランド力を生かして、
いいサイクルを回していけば、いずれは面白いことができるはずだと感じてます。

神戸マルシェには、楽しくおいしいだけじゃなく、
そういうサイクルを回すことのできる力を持った店が集まってます。
これからも「そそられる」仕掛けを、色々としていきたいですね。



【西川シェフが選ぶ、私の店の3品】
・ずっと売れてる定番商品
「カンパーニュ」
 パンビオロジックの先駆けでもある同店。
 来年は完全にビオの素材でカンパーニュを作る予定だとか。

・マニアが喜ぶレアアイテム
「バゲット・ルビュー」
 石臼で時間を掛けて挽いた小麦を使い、低温でゆっくり発酵させて作る。
 甘みと香りがたまらないパン。形が自然な曲線なのも面白い。

・個人的に気に入ってる隠れたおすすめ商品
「クロワッサン・サレ」
 カンパーニュの生地に油脂を折り込んで作ったクロワッサン。
 歯ざわりが最高!

ラブブランジェリー・コム シノワ お店情報はコチラ



取材・文/西川有希


| kobemarche | 店主インタビュー | 17:25 | - | trackbacks(0) | - | - |